短編小説「A海」

A海は、鮫が何か邪悪な気を出しているかのような、おかしな海だった。

ある日、旅客機から美人CAがA海を目掛けて飛び降りた。そして、鮫の餌食になった。
「ギャアアア!いやあ!」
美人CAは、スーツ、ベージュストッキング、黒ハイヒールもろとも、ズタズタに引き裂かれてしまった。
海には血糊や、CAの服やスカーフやストッキングや靴がプカプカと浮いている。

そして翌年には、修学旅行中の高校生を乗せた船がA海で転覆した。

「キャアア!鮫ぇ!いやあ!助けてえ!」
白ブラウスに黒ベスト、黒ストラップシューズに白ハイソの女子高校生達は鮫にかじられながら叫ぶ。
鮫に女子高校生達は捕食されてしまい、ソックスや靴や服が血糊と一緒に、海に浮かんでいる。

ベージュのスーツに薄手白ストッキングに白パンプスの女教師も、鮫の餌食になった。

黒スーツの男性船員、女性船員と、次々餌食になって行く。

呪われたA海は、今日も、邪悪な気を放っている。